ほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)の違い - 症状や治療方法の紹介

 悪性黒色腫(メラノーマ)とは、いわゆる“ほくろのガン”のことです。あらゆるガンのなかで、最も悪性度の高いものの一つです。腫瘍の分厚さで5年生存率が変わるといわれており、1mmだとほぼ100%ですが、4mmを超えると約50%以下まで下がります。リンパ節転移や内臓への転移を起こすことが多いのも特徴です。
このため、早期発見、早期治療をすることが大事です。日本国内では1年間に新たに悪性黒色腫と診断される人は100万人に10~20名と言われています。

悪性黒色腫の原因は?

外線、外傷、ヤケド後の瘢痕(はんこん ヤケドの後に表面に残った跡)、掻破(そうは 痒い所を掻いて傷つけること)などが言われています。皮膚に刺激を与え続けることが原因なのですが、個人差がありみんながみんな出来るわけではありません。

診断方法

 悪性黒色腫の診断方法は、皮膚科専門医がダーモスコープと呼ばれる拡大鏡を利用し見ることである程度分かります。それでも診断が難しい場合は、皮膚の一部を切り取って皮膚生検と呼ばれる細胞診断を行います。これでほぼ確実に悪性黒色腫かどうか判断ができます。
また、最近ではレーザーを用いた皮膚癌の診断技術の進歩により、皮膚を切り取らなくても診断できるようになりそうです。イギリスのある研究グループによると、レーザーを用いて皮膚の血流を観察することで、ほくろか悪性黒色腫かを判断することができるようになったという研究結果を発表しています。(参照:Nature Scientific Report Sci Rep.2015 Aug 11;5:12825. doi: 10.1038/srep12825.)診断精度もかなり高いようで感度(悪性黒色腫を見逃さない割合)は100%、特異度(悪性黒色腫ではないケースを正しく陰性と判定する割合)は90.9%とのことでした。
さらには人工知能(AI)を用いた診断も進んでおり、2017年にスタンフォード大学が発表した研究では皮膚科の医師とそん色ない程度の診断が可能であった。この研究ではおよそ13万枚の皮膚疾患画像を用いて人工知能を学習させ、悪性癌腫と悪性黒色腫の2種類を判定した。結果はおおむね皮膚科の先生と一致するものでした。

治療方法

基本的には、切除した上で抗がん剤投与することが多いです。新しいお薬の開発などで、時代によって治療方法は変わってきています。皮膚科専門医に相談して、最新の治療方法を聞くことをオススメします。

ある程度自分で判断できる方法

不安であれば皮膚科専門医を受診したほうがいいですが、自分である程度判断できる見分け方がありますので紹介します。

ABCDEルールと言われているもので、

  • A(Asymmetry)・・・不規則形。簡単にいうときれいな丸や楕円形ではないということです。
  • B(Borderline irregularity)・・・境界不鮮明。境界がモヤモヤしていたり、ぼやけた感じになっていたりしている。
  • C(Color variation)・・・色調多彩。ほくろは色が全体的に均一なのに対し、悪性黒色腫では一部が薄かったり、白かったり、青みがかっていたと様々な色が混じっている。
  • D(Diameter enlargement)・・・拡大傾向。直径6mm以上のことをいいます。逆に言うと、6mm未満であれば、手術で切り取りさえずれば助かることが多いという事です。
  • E(Elevation of surface)・・・表面隆起。急に盛り上がってくると悪性のサインとなります。

このように5つの判断基準があります。境界や色調に関しては皮膚科専門医でないと判断が難しいのかもしれませんが、大きさであれば誰でもわかるので参考になるのではないでしょうか。

日常生活で気をつけること

またデンマークでの研究で、430万人・年の患者で追跡調査したところ、コーヒーを毎日4杯以上飲む人は、4杯未満(飲まない人も含む)の人と比べて悪性黒色腫の発症リスクが25%低いというものでした。1日にコーヒー4杯というのは少し多いような気もしますが、飲むなら1日4杯以上飲むとリスクが下がるようです。
逆に別の研究結果(参照:JAMA Intern Med.2014 Jun;174(6):964-70. doi: 10.1001/jamainternmed.2014.594.)ですが、男性機能低下に使用するシルデナフィル(バイアグラ)は、悪性黒色腫発症リスクが2.24倍上昇する可能性を指摘されています。

悪性黒色腫に関するうわさ

悪性黒色腫に関してはいろいろなうわさがあります。例えば足の裏にほくろができたら癌だとか、大人になってからできるほくろは癌だとかがあります。これらは正確な情報ではありません。ほくろは顔や腕などの紫外線を浴びやすいところにできやすいですが、基本的にはどこにでもできます。悪性黒色腫のできやすい部位は、紫外線を浴びやすい顔や刺激を受けやすい足の指などに出来やすいとされていますが、その他にも背中や大腸などに出来る例もあります。

まとめ

悪性黒色腫はがんの中でも非常に悪性度の高いものです。日常生活では紫外線を浴びすぎないように注意してください。また早期発見が重要ですので、自分でできる方法を参考にして、それでも気になる場合はLoquatによる相談や皮膚科専門医の受診をお勧めします。

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